東京大学血管外科

当科での腹部大動脈瘤の診療について

典型的診療・治療・通院の流れ

診察

これまでの治療内容や投薬内容、身体診察、ご家族の病歴などをお伺いいたします。リスクの評価や治療方針の決定に重要ですので、特に内服薬や以前受けた治療、病気などについてお教えください。

検査

当日もしくは後日、血液検査、尿検査、CT検査をはじめとする画像検査、生理機能検査(血管機能検査・心臓検査)を行います。最も重要なのは造影剤を使用したCT検査です。病状や緊急性、また検査の空き状況に応じて予定が決まっていきます。

結果説明

検査結果につきましては、即日に結果がわかるもの・お時間をいただくものがございます。結果は丁寧にご説明させていただきますので、不明な点はなんなりとご質問ください。

治療方針の決定

検査結果などをもとに診療科内のカンファランスで治療方針の検討を行います。ガイドラインや診療科内での方針を基本としつつ、患者さん個人に合わせて適切な治療方針をご提案いたします。例えば、開腹手術かステントグラフト治療(カテーテルやワイヤーを使って行う血管内治療です)を選択するか、またステントグラフトもどのようなメーカーのものがその患者さんに最適なのか、まで掘り下げて議論をした結果をお話いたします。

外来での経過観察となった場合、定期的に検査や診察を行いながらその都度治療方針をご説明いたします。おかかりつけの先生と密に連携をとりながら診療にあたらせていただくことも多いです。喫煙歴のある方は禁煙の徹底を、生活習慣病をお持ちの方は継続した治療をお願いいたします。

手術の場合

手術の準備

手術日および入院日の設定を外来医師と一緒に行います。ほとんどの検査と、他科受診(循環器内科と麻酔科など)は外来で行うことを基本としておりますが、病気の緊急度やその他の事情で、それらの一部を入院してから行うこともあります。入院時の持ち物など、詳細は外来看護師や入退院センターでご説明いたします。

入院・手術・退院

入院されましたら病棟担当チームが主治医チームとしてつきます。さらに看護師、薬剤師など多職種でチームを組み治療を担当させていただきます。手術や術後経過については患者さんごとに大きく異なるため、個別に対応させていただきます。退院が可能となりましたら担当チームよりご案内いたします。

退院後の外来通院について

退院後初外来は、2週間以内に予約をお取りすることが多いです。退院後も定期的な画像検査や診察を行い、追加治療の必要性や新しく生じた動脈瘤がないかなどチェックを続けていきます。動脈瘤のほとんどは動脈硬化のいわば“なれの果て”といってもよいかもしれません。そのため頻度は多くないですが(年に1-4回)比較的長いお付き合いになると思われます。お住まいが遠いなどのご事情がある場合、かかりつけの先生方と連携させていただき、投薬などをお願いさせていただきつつ当院では時々血管外科の視点からフォローさせていただくこともあります。

腹部大動脈瘤についてのよくあるご質問

  1. 腹部大動脈瘤は自然になくなることはありますか?
    • 回答)基本的にはありません。
  2. 運動はしてもいいですか?
    • 回答)交通事故や、高所からの転落、ボクシングなどのコンタクトスポーツといったもので腹部大動脈瘤が破裂するリスクは指摘されていますが、通常のウォーキング・ランニング・スイミング・ゴルフ程度の運動をきっかけに破裂するリスクは非常に低いと考えられています。健康維持のために是非継続して下さい。
  3. お薬や生活習慣で小さくなりますか?
    • 回答)基本的には内服薬や特定の行動で小さくすることは出来ませんが、大きくなるのを予防するために絶対に大切なのは禁煙です。適度の運動は瘤の拡張を抑制するというデータもありますので、じっとしていれば安全、とういことではありません。他にも高血圧や脂質異常症に対する治療を適切に受けて頂くことで大きくなるのを遅くできる可能性があります。